想ふ、夏野の石一つ

つれづれなるままに、日暮らし、画面にむかひて...

生理的なのも

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世の中のいろいろなものが、生理的に受け入れられない場合がある。もしかすると人より多いのかもしれない。人であったり物であったり、文字通りいろいろある。中でも文章が、これは表現なのかテンポなのか分からないが、受け入れがたいことがある。そうなると大抵は読むのをやめてしまうが、拒絶感が小さければ頑張って読み進められる場合もある。そういった本に限って自分の中に何か残してくれるから不思議だ。

今回読んだ「月と蟹」は、文章は特に生理的な引っ掛かりはなかったものの、表現というかストーリーが少しジトっとしていて、しかも後半に進むほど重くなって、かなり読むのに苦戦した。ラストも後味スッキリではなく、喉元になにかつかえたままだ。

ただ、著者の書きたかった事というか、残したかった事はわかる気がするし、少し背伸びした、屈折した子ども心の描写は共感できる部分もあった。また少し置いて読み返すと、違う印象を持つかもしれない。